組み合わせを楽しむ好きなものを無理なく合わせる
ワンルームの部屋づくりと暮らし
好きな間取りを求めて
エントランスからシンプルでモダンなつくりのマンションに暮らす、インテリアスタイリストの大谷優依さん。部屋の玄関から明るいワンルームに進むと、大きなベッドが主役のように鎮座している。
でも、なぜか不自然さは全く感じない。「ゆったり寝たくて、ベッドを大きくしたら必然的にリビングにしか置けなかったんです」。ベッドはダブルサイズにシングルサイズを足した広さ。奥の少し天井が低い空間は家具と布で仕切って、仕事用のデスクを置いたりクローゼットとして使っているという。
結婚を機に物件を探しはじめて3年前にここに引っ越した。「広いワンルームで探していたんです。憧れてきた部屋が建築家のル・コルビュジエの小さな家とか、清家清さんの平屋の自邸とかでワンルームだったことも影響して。空間を壁ではなく家具やカーテンで仕切って広く見せられるのがよかったんです。それにここは3面窓があるので明るくて気に入っているんです」。
家具を選ぶ基準
「家具はシンプルであまり飾りや主張がないものが好きですね。そういう家具や小物を組み合わせてつくりあげていく、という方が好きです。それに元々物が多いタイプなので、ミニマリストには一生なれないです」。そう笑いながら話す大谷さんは、学生時代からデザインというよりはその家具や雑貨の成り立ちや、それがつくられた国では暮らしの中でどう使われているのか、ということに興味があったという。
「デザイナーズもの、とかではなくて誰がつくったのかもわからないような椅子とか、土着的な雰囲気のものやどこかストーリーを感じるものが好きですね」。部屋に置かれている家具はヴィンテージのものからIKEAのものまであるが、どれか一つだけが目立つということはなく、モロッコのラグや刺し子のベッドカバーなどの小物も相まって大谷さんらしいさりげないセンスの統一感で空間がまとめられている。どれも無理なく選ばれたことが伺える。
理想はやっぱりワンルーム
「以前は外のカフェで仕事をしたりしていたんですが、ここに暮らし始めてから家がすごく落ち着くので、こちらの方がはかどるようになりましたね。休みの時はベッドをソファ代わりにして、映画を観たりしています」。アートディレクションをすることも必要な仕事柄もあるのか、そういったインプットの時間も大切だ。「映画を観ていても、この国ではこういう部屋でこう暮らしているのか、とかそっちに注目してしまいますね」。
忙しい日々でも、部屋に草花は欠かさない。「暖かい季節はいつも大きい切り枝を部屋に置いています。あとは撮影で使った花を持ち帰ってドライにしたり」。そこここにあるグリーンやドライフラワーの彩が、絵になるコーナーをさりげなく演出している。「理想は窓からグリーンが見えて静かで明るい、そしてやっぱり大きなワンルームに住みたいですね」。大谷さんの次の住まいは、どんな空間に仕立てられるのだろうか。