愛猫と一緒に暮らす 動物病院院長が監修する
人と猫のためのリノベーション
猫の特製を踏まえてプランニング
かわいいペットと快適に楽しく暮らしたい。ペットとの共生を考えて、住まいをプランニングする事例も増えている。そこで今回は、“猫”をテーマに、人にも猫にも心地よい住まいを提案する「マイリノペットforねこ」をクローズアップ。
「マイリノペット」は、物件探しから設計、施工までワンストップで行うグローバルベイスの「マイリノ」が、田園調布動物病院・院長の田向健一先生の監修の下で行うリノベーション。第一弾として展開している“forねこ”は、猫との暮らしのお悩みや問題をベースに、快適な空間をプランニング。猫と共生するにはどんな空間が望ましいのか、気をつけることは何かを、田向先生に伺った。
「猫はもともと単独を好み、人間や他の動物とのかかわりを求めない傾向が強いです。でも、臆病な子から好奇心の強い子まで、性格は個体によって様々。できれば家づくりの前に見極めたいと思いますが、ゆくゆく飼うという場合には、最低限気をつけておきたいことがあります」。
猫のために気をつけたいこと
「まず、猫はきれい好きな生き物なんです。トイレをきちんと覚えるし、汚れるとそこでしなくなることもあります。そしておしっこを我慢することで膀胱炎になったり、泌尿器系の病気にかかったりしやすい。だからトイレはいつもきれいに管理できるようにしておきたいですね。排泄物と一緒にトイレに流せる砂もあるので、人間のトイレに近い位置に猫のトイレも置くなどすると、お世話が楽だと思います」。
ひとりでお留守番させることも多い猫ちゃんのために、気をつけてあげたいのはお水。
「猫は水にこだわりがありますから、いつも新鮮できれいな水を飲めるようにしておくことは大事です。水飲み場はいつでもアクセスできるような位置に、できれば2カ所。こぼしてしまって飲めなくなることもあるからです」。
洗面所など水回りの近くに設ければ、動線がよく衛生状態も保たれる。こぼすことを考えると、その回りの床は水に強い素材を使うのもおすすめだ。
「あとは危険を除いてあげること。私自身も3匹の猫を飼っていますが、心配なのは脱走です。玄関ドアを開けた瞬間に外に飛び出すこともあります。普通のサークルだとジャンプをして簡単に飛び越えられるので、生活空間との間に1枚扉があるといいですね」。
ベランダから落ちることもよくあるケースとか。その他、調理中のキッチンや、お湯を張ったお風呂などにも気をつけたい。猫がアクセスできないよう、間取りなどに工夫を。
猫が安心して、楽しめる工夫
散歩に連れて行けない猫ちゃんを、室内で楽しませてあげるには、どうしたらいいだろうか。
「犬は床の上の水平方向だけですけど、猫は3次元的に動くので、立体構造をつくるなどの工夫をしてもいいと思います。嫌がる猫に無理やり運動させることは難しいのですが、キャットタワーや走れるスペースなど、気の赴くままに遊べる空間を作ってあげたいですね」。
リノベーションであれば、猫用の造作家具など、デザイン性も考えつつ設けられるので相性良し。
「猫は高いところにいると安心するらしく、上からものを見たり、窓の外を眺めたりしていることが多いです。部屋全体が見える高い位置に居場所をつくってあげたり、外が覗ける窓を設けたりするのもいいでしょう」。
押し入れに入り込んで隠れるなど、どこにいるか分からなくなりがちな猫。キャットウォークをルーバー状にすれば、居場所が分かり、飼い主にも猫ちゃんにも安心。
人も猫も快適に暮らすために
「マイリノペットforねこ」では、田向先生監修の下、飼い主にも猫にも快適な壁材・床材を選定している。自然素材の塗り壁は、吸湿放湿効果と消臭効果があり、粗く固めの仕上げで爪研ぎにも対応。床材には赤ちゃんが舐めても安心なオイル塗装の無垢材が用意されている。
「猫は自由に居心地のいい場所を求めて、あちこち動き回ります。そのときに2種類の床があるといいですね。夏暑いときはタイルの床、冬寒い日は木の床など、居場所を分けられれば猫も快適です」。
また、飼い主側の使い勝手も大事。毛が服に付いたりしがちなクローゼットなど、入られたくない場所には扉を設けるなどの工夫を。カーテンや網戸を登るのが好きな猫ちゃんなら、よじ登れないプリーツスクリーンで、傷つけられるのを防止する手もある。
「猫主体で考えるのが必要な部分もありますが、飼い主さんが管理しやすいような方法が、より共存しやすくなると思います。猫にはある程度走り回って遊べて、危なくない環境を整えてあげる。それさえクリアすれば、飼い主さんにとって使いやすいほうが、余裕が出来てさらに愛着がわくし、目もかけられて最終的には双方にとっても良い。人も猫も健康で快適であることが大事です」。