
バスタブをリムーバブルに間取りの自由度が高まる
新発想のバスルーム
ハレの日とケの日を使い分ける
浴槽が自由に着脱できたら?『bathtope』は、LIXILが提案するこれからのお風呂のひとつの在り方。独自に開発された布製の浴槽(fabric bath)を付けたり外したりすることで、浴室をフレキシブルに使うことが可能になった。
「都心のマンションライフの中で、“毎日お風呂に入らなくてもいい”、という人が増えています。シャワーブースだけという選択もあるのですが、同時に日本人の感覚として、たまにはお風呂に浸かりたい気持ちもある。その両方のニーズに応えるために開発しました」
というのは、LIXIL浴室事業部デザイナーの長瀬徳彦さん。忙しい<ケの日>はシャワーで済ませ、週末など特別な<ハレの日>だけ入浴を楽しむ。『bathtope』は、そんな<ハレとケ>を使い分けるライフスタイルを叶えてくれるバスユニットだ。
「環境への意識の高まりも背景にあります。お湯をためて保温するのとシャワーとでは、CO2の排出量が違ってくるし、同じサイズのFRP浴槽と比べ、約26%の節水効果(*)が得られるという結果も出ています。エコを意識しながら、日本のお風呂文化も残す、新しい時代に対応した浴室を考えました」

fabric bathを着脱することにより、バスルームを自由に切り替えることが可能。(*)FRP浴槽(ミナモ浴槽1600サイズ)の標準使用湯量190Lに対し、fabric bath(1600サイズ)の標準使用湯 量140Lと比較した場合。

従来のFRP浴槽に比べて、柔らかい素材が身体にフィットし、包み込まれるような入浴感がある上、湯量を節約することができる。

ニュアンスのあるカラーバリエーション。3タイプのグレードのうち、ベーシックモデル(Eタイプ)は1枚、スタンダードモデル以上(Sタイプ・Gタイプ)は2枚が選べる。

LIXIL浴室事業部 デザイングループの長瀬徳彦さん。システムバスルーム、単体の浴槽を含めてバスまわりのデザインに携わる。
限られたスペースを有効活用
専用ユニットとfabric bathがセットされていて、グレードは3タイプ(8月発売モデル含む)。ドアの形状や壁、床の素材、カラーバリエーションなどに違いがあるが、サイズはすべて同一だ。
「ユニットバスの中でもコンパクトで、マンションで普及している1216(0.75坪)サイズです。限られたスペースをどう使うか、からスタートしているので、コンパクトである分、他のスペースを広く使えることが利点です。もっと小さくしてもいいかなと個人的には思っていますね」
1日の中で数時間だけ過ごすバスルームをスリム化することで、脱衣所を広げてホテルライクに演出したり、トレーニングルームを設けたりするなど、前室を自由に使うことが可能に。
「従来のコンパクトサイズのバスユニットの場合、身体を洗うスペースも浴槽もどちらも窮屈だったんです。『bathtope』であれば、浴槽を取り外せばシャワールームとして広々と使えます。また、短辺方向に配置されている従来のユニットの浴槽と違い、長辺方向に浴槽を配置しているため、入浴時には足を延ばしてゆったりと入ることができます」

fabric bathを使わないときは、フックにかけておくことができる。広々とさせた洗い場ではペットのシャンプーや、アウトドアギアのお手入れなどもしやすい。

使用時はフックにセットしてお湯を張るだけ。

お湯の重量で布がピンと張り、身体をしっかりと支える。通常は1200mmの短辺方向に浴槽が配置されるが、1600mmの長辺方向に浴槽をセットできるので、足を伸ばして快適に入浴できる。
包み込まれる入り心地
fabric bathは、プラスチックと違って柔らかく、入浴時にはハンモックに横たわるように背中から頭まで包み込まれる感覚がある。
「頭をもたれかけてリラックスして入ることができます。入浴感が唯一無二と言っていただけていますね」
と言うのは、同じく浴室事業部の金子菜奈子さん。浴槽の設計は試行錯誤を繰り返した。
「布に関してはLIXILのノウハウのなかったところなんです。普通は3DCADをつくるのですが、これは形がないようなものなので、普通のテントの生地を買ってきて、俵型にカットして試作しました。最初は素材感がゴワゴワしすぎたので、内側の生地に薄いフィルムを被せて肌触りをソフトにしました」(長瀬さん)
湯量140ℓ〜200ℓと人の体重100kg、計300kg迄の荷重に耐えられる構造を叶えつつ、できるだけ厚みの少ない生地を使って900gという軽さに。
「ネットでも購入できるように、手軽なものにしたかったんです。追加購入できるところもメリットです」(金子さん)
カラーは5色。気分で取り替えることができるのも嬉しい。
「掃除という観点でいえば、浴槽に給湯口がないのも清潔さが保てて楽ですね。ユニットの内装も最小限のため水切りがしやすく、従来の浴槽のように見えない部分の汚れの掃除が大変、ということもありません」(金子さん)
オプションで棚を設置することもできるが、壁が鋼板パネルなので、マグネット式のカゴなどを取り付けることも可能。バスアメニティを取り外しの簡単なカゴに収めて出し入れすれば、カビの繁殖を防いで、さらに掃除が楽になりそうだ。

ポリエステル生地に、ポリウレタンフィルムをコーティングして防水機能を持たせた。肌触りのよい生地が、身体を優しく包み込む。お手入れは、中性洗剤とスポンジでこすり洗いするか、衣類用洗剤で手洗いして、しっかり乾かせばOK。

ロッククライミングで使うロープをエッジに使用。頭の部分は痛くならないように、ロープを抜いた構造になっている。

fabric bathは筒状の梱包材に入れて販売。

5色のカラーから選べる。

浴室事業部 商品市場戦略グループの金子菜奈子さん。
将来は部屋のひとつに!?
8月からはハイグレードバージョンが登場。これまでの2タイプは片引き戸だったが、両面ガラスの引き違い戸に。シャワーとカランに加え、レインフォールシャワーも設置されたほか、ライン照明が採用されてよりラクジュアリーな雰囲気が味わえる。
「引き違い戸のフレームは極限まで細く、取っ手もシャープにして、浴室側と洗面室側をできるだけノイズレスに繋げました。よりオープンにして、浴室を他の部屋と繫げていくイメージです」(長瀬さん)
fabric bathを外したら、観葉植物を置いてサンルーム風にするなど、様々に楽しめそう。
「今はどうしてもドアが半分残ってしまいますが、将来的にはフルオープンにして、浴室と前室が完全にひとつの部屋になるような形も目指しています。リノベーション時には、浴室を北側の寒い位置に独立させて置くのではなく、書斎にしたり、趣味部屋にしたり、自由に発想をして創造していただきたい。リノべのひとつの素材として面白く使ってもらえれば」(長瀬さん)
『bathtope』は、多様な生態系の保全を目指すビオトープと掛け合わせてネーミング。趣味や暮らし方が人それぞれ様々なように、お風呂の使い方も様々。自分のライフスタイルに合わせてリノべーションに活かす、そんな可能性が広がりそうだ。

最新モデルのGタイプ。床には、LIXILの高級ユニットバスSPAGEと同じ樹脂素材のグランフロアを搭載。

レインフォールシャワーは、Gタイプに標準装備されている。

ライン照明は蛍光色から電球色まで調光調色が可能。

オプションで乾燥暖房機付きの換気扇、ランドリーパイプを付ければ、ランドリールームとしても使える。

オプションで窓を取り付けることも。庭と繫がるバスルーム、アウトドアリビングとしてのバスルームなど、浴室空間の自由度が高まる。
