身近な金継ぎを習う 後編 思い出の器に金を撒いて
華やかに蘇らせる
欠けを修繕する
大脇京子さんに教えていただく「身近な金継ぎを習う」の前編では、割れた器を“接着”する方法を習った。
今回の後編では、飲み口が薄く剥がれるような欠けや、割れた器のパーツが揃わない場合の、欠けた部分を“補う”技術を学ぶ。
今回の後編では、飲み口が薄く剥がれるような欠けや、割れた器のパーツが揃わない場合の、欠けた部分を“補う”技術を学ぶ。
接着や欠けが修繕できたら、いよいよ金を蒔いて仕上げていく。
欠けを補填する錆漆の作り方
割れた器の接着には、生漆に強力粉を混ぜた「麦漆」を使ったが、欠けた部分を補う材料には、生漆に砥粉(とのこ)を混ぜた「錆漆」を使用する。
「後で研いでいくので、欠けた部分に多めに乗せてください。
3〜4日乾かしたあと、耐水ペーパーで研ぎます。器の部分に耐水ペーパーが当たると傷をつけてしまいますので、なるべく漆だけに当たるように心がけてください」
もし錆漆が余ったら、空気を遮断するようにラップに包めば、1〜2日程度保存できる。
赤漆を塗る
割れた器を接着したり、欠けを修繕した後、金を蒔くための前段階、色漆を塗っていく。この色漆に金を撒く。
金の発色を良くするためには、赤や弁柄の漆を使うとよい。
金の発色を良くするためには、赤や弁柄の漆を使うとよい。
「漆を塗る際のコツですが、ゆっくりと筆を動かすと、細い線でもかすれずに引けます。何度も塗り直すと2重線になりやすいので、ゆっくりと一気に一本の線を引くようにしてください」
金を蒔く
いよいよ最後の金を蒔く仕上げの工程だ。
「赤漆が半乾きの状態になったら、上から筆にとった金粉をトントンと落としていきます。その際、筆と漆がつかないように気をつけてください。
まだ乾かないうちに蒔くと金が漆に沈んでしまいますし、遅いと金が乗りません。蒔くタイミングが大切です」
真綿を使って優しくクルクルと金を馴染ませる。
「不必要な金を取り除くと同時に、必要な場所に金を乗せていく作業です」
真綿の下でみるみる金が輝き出す。金継ぎの完成だ。
「熱湯でグツグツ煮れば漆は剥がれるので、失敗を恐れずに挑戦してください。
金粉には種類が多く、赤みがかった金から、青みがかった金まで、粒子の大きさによってガラリと雰囲気が変わります。私も金の色を変え、時に銀にしたりと、金継ぎをし直しながら楽しんでいます」
どんな色に仕上げたら魅力的な姿に蘇るのか、器と金の種類の相性を考えながら金継ぎを楽しみたい。