早春の花を飾るアイディア  大人っぽい花合わせで 素敵な新年を迎えたい

早春の花を飾るアイディア春一番に咲く花で
新しい季節を先取り

グレートーンの冬景色の中、我先にと花を咲かせる球根植物。梅、桃、桜などの葉が出る前に咲く花々にも待ち遠しかった春の訪れに胸が躍る。
それら早春の花の飾り方を、花生師の岡本典子さんに教えていただいた。

「小さな球根植物の形の不思議さや色の面白さを近くで楽しむために、グラスなどに挿した花を食卓テーブルの上に飾ってみました。バラバラに置くのではなく、トレーに纏めることで一体感が出て、素敵なコーナーになります」

バランスのとりにくい枝物は、花器の足元に器などを飾り、下にもボリュームをもたせることで、手軽に早春の花のある空間を楽しめる。

【トレイに纏める】春の訪れを告げる球根植物

粒粒の形がユニークなムスカリや、大きさや色のバリエーションが増えた水仙など、球根で育つ花は、土の中で栄養を蓄え、春真っ先に花を咲かせる種類が多い。そんな球根植物を楽しむアイディアを教えていただいた。

「球根で咲くお花を、デザートグラスや薬瓶に挿します。トレイに纏めて置くと、大小様々なグラスを使っても一体感が出ます」

切り戻しをしながらこまめに水を替えるのが花を長く楽しめるコツ。トレイに纏めて置いておくことで、水換えを忘れてしまうのを防げるのだとか。

「ホームパーティのテーブルをコーディネイトする際、小さなグラスなら食器類の間にも置きやすいし、除けたくなったらトレイに移します。トレイ+小さなグラスのTIPSは、覚えておくと便利だと思います」

右の茶色のボトルに挿した小さな水仙から右回りに、ドキッとするような美しい色のラケナリア、ムスカリ、ラケナリア、リューココリーネ、ラナンキュラス。

右の茶色のボトルに挿した小さな水仙から右回りに、ドキッとするような美しい色のラケナリア、ムスカリ、ラケナリア、リューココリーネ、ラナンキュラス。

茎を切り戻して短くなっても、小さなグラスに替えれば長く花を楽しめる。球根のままのムスカリは根が浸る程度の水量で。球根が長時間ひたひたに水に浸かりすぎると腐ってしまう原因にも。

茎を切り戻して短くなっても、小さなグラスに替えれば長く花を楽しめる。球根のままのムスカリは根が浸る程度の水量で。球根が長時間ひたひたに水に浸かりすぎると腐ってしまう原因にも。

【枝もの】足元にボリュームを加えバランスを整える

梅、桜、桃……。葉が出る前に花が咲く枝ものを飾り、春の訪れを満喫したい。

枝ものを飾る時、どうしてもカッコ悪くなってしまうという相談をしたら、岡本さんにとても簡単なアドバイスをいただいた。

「枝ものは頭が重くなってしまうので、花瓶に加えて、もうひとつバケツなどの重いものを加えて安定させると倒れにくくなります。
それだけですとまだ足元がさみしいので、他の花瓶を置いたり、なにかお好きなオブジェなどを添えたりして、足元にボリュームを出すとバランスが良くなります」

蝋梅をガラスの花瓶に生け、花瓶をバケツに入れて安定させる。バケツと同じ素材の水差しを飾って全体のバランスを整える。

蝋梅をガラスの花瓶に生け、花瓶をバケツに入れて安定させる。バケツと同じ素材の水差しを飾って全体のバランスを整える。

ちなみに、足元に置いた2つの水差しがない時はこんな感じ。黄色い蝋梅は可愛らしいけれど、なにか物足りない。

ちなみに、足元に置いた2つの水差しがない時はこんな感じ。黄色い蝋梅は可愛らしいけれど、なにか物足りない。

蝋梅はツヤツヤした香りの高い花。年末から2月頃にかけて黄色の花をつける。花の中央の花弁が紫の品種もある。

蝋梅はツヤツヤした香りの高い花。年末から2月頃にかけて黄色の花をつける。花の中央の花弁が紫の品種もある。

お花は「立体的」に飾ると空間が素敵に変わる

球根の花や早春の枝ものを飾る時に心がけたいのが、「立体的」に見えるかどうか。

「木箱や棚を使えば、わりと簡単に高低差や奥行き感を出しやすいのでオススメです。洋書や燭台、お気に入りの布などをあしらって、部屋の中に、お花のためのワンコーナーを作ってみてください」

岡本さんが作る、溜め息の出るような素敵な世界観に憧れるファンも多い。どうしたら魅力的な作品を作ることができるのか聞いてみた。

「私が好きなもののベースは変わらないと思いますが、常にアンテナを高く張って、新しい風を感じるようにしています。
花一輪を飾って、茎の形の面白さや花の色の不思議さ、可憐な香りを楽しむところから、お花に触れていただければとても嬉しいです」

雑貨屋さんで一目惚れして衝動買いしてしまったという猫の器にラナンキュラスを生けて。棚を使って高低差や奥行き感を出して「立体的」に飾ると、お花が生きてくる。

雑貨屋さんで一目惚れして衝動買いしてしまったという猫の器にラナンキュラスを生けて。棚を使って高低差や奥行き感を出して「立体的」に飾ると、お花が生きてくる。

様々なバリエーションのあるラナンキュラスの中でも、岡本さんがお気に入りなのが甘くなりすぎない色目のものなのだとか。

様々なバリエーションのあるラナンキュラスの中でも、岡本さんがお気に入りなのが甘くなりすぎない色目のものなのだとか。

ドライフラワーのお落ち着いた色味はインテリアの中に溶け込ませやすい。木箱を使って「立体的」に見せた空間の横に添えるように飾る。

ドライフラワーのお落ち着いた色味はインテリアの中に溶け込ませやすい。木箱を使って「立体的」に見せた空間の横に添えるように飾る。

岡本典子さん。花生師。Tiny N / Tiny N Abri 主宰。イギリスに留学し、国家技能資格上級を取得して帰国。ゴトウフローリストに勤務後、二子玉川に自店を構える。2015年、三軒茶屋にアトリエ「Tiny N Abri」をオープン。テレビ・雑誌・広告などのフラワースタイリングほか、店舗ディスプレイ、講師、イベント出店など多方面で活躍中。著書に「花生活のたね 四季を愉しむ花と緑のある暮らし」「はじめてのスワッグ」。

岡本典子さん。花生師。Tiny N / Tiny N Abri 主宰。イギリスに留学し、国家技能資格上級を取得して帰国。ゴトウフローリストに勤務後、二子玉川に自店を構える。2015年、三軒茶屋にアトリエ「Tiny N Abri」をオープン。テレビ・雑誌・広告などのフラワースタイリングほか、店舗ディスプレイ、講師、イベント出店など多方面で活躍中。著書に「花生活のたね 四季を愉しむ花と緑のある暮らし」「はじめてのスワッグ」。

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