緑の中を小鳥が自由に飛び回る  ガラス張りの店舗スペースを リビングに

緑の中を小鳥が自由に飛び回るガラス張りの店舗スペースを
リビングに

パレットで自在に空間を使いこなす

アメリカから帰国後、毎年引っ越しを繰り返してきた建築デザイナーの平井龍之進さん。けれど、この家に腰を落ち着けてからは約2年が経つ。約100㎡の広さがある、店舗スペースと住居スペースをひとつにしたユニークな構造が気に入ったのだそう。

リビングとして使っているのが、店舗用として作られた三方がガラス張りのスペース。陽当りの良さを生かしてたくさんの植物を育てている。床がコンクリートなので、水やりの際に気を使わなくて済むのがラクなのだそう。オーストラリア系の植物をはじめとしたさまざまなグリーンが置かれている。テラスの水やりはタイマーで管理している。

リビングのコンクリートの床の一部はパレットが敷かれた小上がりとなっている。
「パレットは積み重ねることでベンチになったりテーブルになったりします。家でワークショップを開いたり、大人数のホームパーティをすることもあるのですが、パレットを使って自在にレイアウトを変えています」

存在感のあるパオラ・ナヴォーネがデザインしたジェルバゾーニのソファ。左の丸太のスツールもジェルバゾーニ。ソファの後ろのラックは、脚立に足場板を渡したもの。

存在感のあるパオラ・ナヴォーネがデザインしたジェルバゾーニのソファ。左の丸太のスツールもジェルバゾーニ。ソファの後ろのラックは、脚立に足場板を渡したもの。

元オフィス物件らしい大きなガラス張りの空間。ブルーのソファは、建築設計事務所『クライン ダイサム アーキテクツ』が手がけたオフィス物件で使われていた『チュウクウチェア』のサンプル。

元オフィス物件らしい大きなガラス張りの空間。ブルーのソファは、建築設計事務所『クライン ダイサム アーキテクツ』が手がけたオフィス物件で使われていた『チュウクウチェア』のサンプル。

3尺サイズの脚立を使ったシェルフ。リビングスペースとベッドルームの間はコンクリートブロックの壁で隔てられている。

3尺サイズの脚立を使ったシェルフ。リビングスペースとベッドルームの間はコンクリートブロックの壁で隔てられている。

工事現場で使われる脚立に板を渡してラックに。「脚立は地元の町家で買いました。敢えて無塗装で使っています。脚立は規格のサイズが決まっているので、汎用性が高いのも魅力です」。8尺サイズで8000円、3尺で3000円とリーズナブル。

工事現場で使われる脚立に板を渡してラックに。「脚立は地元の町家で買いました。敢えて無塗装で使っています。脚立は規格のサイズが決まっているので、汎用性が高いのも魅力です」。8尺サイズで8000円、3尺で3000円とリーズナブル。

コンクリートの床には、埃を抑えることができる表面強化剤をDIYで塗装した。

コンクリートの床には、埃を抑えることができる表面強化剤をDIYで塗装した。

スチールラックに板を引っ掛けて扉に。ここにプロジェクターを投影して楽しむ。

スチールラックに板を引っ掛けて扉に。ここにプロジェクターを投影して楽しむ。

ラフなインテリアで心地よい空間に

龍之進さんのお宅の居心地が良いのは、あえて粗雑な雰囲気を心がけているからなのだとか。ジェルバゾーニやヴィトラ、アルテック社などの名作家具の数々が、パレットやコンクリート打ち放しや集成材といったラフなものの中に置かれているバランス感覚がとても心地よい。

取材に訪れたこの日は、建築事務所の後輩が泊まりに来ていた。
「ここ荒川区の町家は街もとても面白いです。水泳の北島康介さんの実家のお肉屋さんがとてもおいしくて、昨夜はその肉ですき焼きをしました。朝食は残りの肉でステーキサンドです」

同じ建築事務所の雨宮さんと、インターンの神山さんで囲む遅めの朝食。

同じ建築事務所の雨宮さんと、インターンの神山さんで囲む遅めの朝食。

家に泊まりに来た後輩のためにキッチンでステーキサンドを作る龍之進さん。

家に泊まりに来た後輩のためにキッチンでステーキサンドを作る龍之進さん。

食器やテーブルクロスはベトナムのハノイで買ったものを愛用中。「青と黄色のポッチのついた陶器は友人の『mai maruo』に作ってもらいました」

食器やテーブルクロスはベトナムのハノイで買ったものを愛用中。「青と黄色のポッチのついた陶器は友人の『mai maruo』に作ってもらいました」

床がコンクリートなので、大胆に水やりができる。フラワーデザイナーの奥様の好美さんの影響もあって植物が好きになったそう。

床がコンクリートなので、大胆に水やりができる。フラワーデザイナーの奥様の好美さんの影響もあって植物が好きになったそう。

緑っぱいの空間を自由に飛び回る2歳のコザクラインコ、抹茶色の“まっちゃ”ちゃん。

緑っぱいの空間を自由に飛び回る2歳のコザクラインコ、抹茶色の“まっちゃ”ちゃん。

大きなスワッグは、シーツを芯にして作ったものだそう。手前はアアルトのデザインのペンダントライト。

大きなスワッグは、シーツを芯にして作ったものだそう。手前はアアルトのデザインのペンダントライト。

壁を抜いて動線を確保

元々、店舗スペースと住居スペースは入り口が別に作られていて、行き来ができない構造だったのだとか。コンクリートブロックの壁の一部を抜いて、導線を確保した。リビングにした店舗スペースと、ベッドルームにした住居スペースの間は、カーテンで仕切ることもある。

「ベランダへの水の配管を追加したり、ロフトを作ろうかなど、まだ手を入れたい部分が残っていますが、楽しみながらゆっくり整えていきたいと思っています」

コンクリートの床に、必要な部分だけパレットを敷いている。パレットは、家でワークショップを行う時には積み上げてテーブルのように使うなど、臨機応変に使いまわせるのが強み。カーテンの向こうがキッチンとベッドルーム。

コンクリートの床に、必要な部分だけパレットを敷いている。パレットは、家でワークショップを行う時には積み上げてテーブルのように使うなど、臨機応変に使いまわせるのが強み。カーテンの向こうがキッチンとベッドルーム。

キッチンとベッドルームの床はフローリング。ベッドのマットレスの下にもパレットを敷いている。

キッチンとベッドルームの床はフローリング。ベッドのマットレスの下にもパレットを敷いている。

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