「お片付けノート」で回転する暮らしPart1モノが“使って”とアピールする
アクセスしやすいキッチン
要らない理由が分かれば捨てられる
整理収納アドバイザーmocaさんの片付けのきっかけは、使っていなかった1冊のメモ帳。
「ある時、文房具の入った引き出しを整理しようとして見つけたんです。捨てるのがもったいなかったので、その日に捨てたモノとその理由を書いてみました。すると今まで片付かなかったことの理由がわかってきたんです」。
“使っていない”、“壊れている”など、要らない理由を再確認することによって、手放す決心がつき、その後の買い物にも役立つことに。
「無意味に持っていたモノがどんどん減っていくと、今度は収納用品も不要になり減っていきます。その先にあるのは、必要なモノだけを持ち、使い切って回転させるだけの暮らし。私にとっての暮らしやすさはまずモノを減らすこと、簡単にモノにアクセスできるようにすること、この2点ですね」。
今回はその考え方が活かされた、無駄がなくて使いやすいキッチンからご紹介。
“見える化”して使いこなす
9年前に家を建てた時に、キッチンも使いやすさを考えてサイズを指定するなどして計画したそう。
「“見える化”することと、“かけるだけ・置くだけ収納”にすることがテーマでした。簡単に必要なモノに手が届くことが大事です」。
観音扉だったプランは引き出しに変更。アイランドの背面は吊り収納を止め、棚板だけのオープンなラックを設置した。
「扉の奥にしまい込んでしまうと存在を忘れて使わなくなってしまうんです。見て分かるようにしておけば、モノを使い回して回転させることができます」。
レンジフードなどに掛け放しにしたキッチンツール、オープンなラックに並ぶ食器類など、どれも存在感を放っていて“使ってほしい”と言っているかのよう。
「壁付けのラックのモノは出しっ放しなので、見た目も大事。かといってディスプレイだけが目的ではく、置いているのは毎日飲むコーヒーセットなど使用頻度の高いモノです。そのバランスを考えています」。
台の上にはモノを置かない
シンク、ガスコンロを備えるキッチンカウンターでは、それぞれの位置で使うモノを使いやすい位置に収納。引き出し式なので、上から見ただけで奥の方まで俯瞰することができ、取り出しやすい。
「いちばん上の段には切る・測る道具を、その下にお鍋などの煮る道具を、いちばん下には立てておくフライパンや調味料を収めています。調味料は詰め替えたりすると分かりにくくなり、賞味期限切れも招くのでそのまま使っています。容器をキレイに揃えることに意味はないと思うんです」。
水切りカゴはシンク下に収め、使うときだけ出して使用。キッチンも背面カウンターも、モノを置き放しにしないことで、掃除がしやすく、見た目にもキレイが保たれる。
使い切って回転させる
「パントリーはこう使うと決めていました」。
食材を収める棚は、上と下に奥行27cmの棚板3枚と、中央に奥行13cmの棚板が2枚。なぜこうなっているかというと、
「中央の棚には食材をストックしていますが、面でしか入らないようにしておけば、常に見て分かるので、使い切ることができます。奥行きを出して収納力を高めることはしません」。
お店の陳列棚のように並んだ食材は、正面から見て商品名がばっちり。
「これだけアピールされたら、使わないわけにいかないでしょう(笑)。どんどん使ってなくなったモノを買い足すために、あえて見えるようにしています」。
消費してなくなったモノは、背面のホワイトボードにメモ。分かりやすいので家族も協力してくれるそうだ。
「“使うときくるかも”をやめて、必ず消費できるモノだけを揃えるようになってから、家の中がキレイになっていきました。そのきっかけは要らない理由をノートに書いてみたこと。1日5分でいいので、モノと向き合う時間をつくれば、暮らしが変わってきますよ」。