お一人様リノベーション自分仕様にカスタマイズ。
NY流の暮らし方

東京都内に建つ築40年のビンテージマンション。２年前に赴任先のニューヨークから帰国した大森さんは、昨年この部屋を購入しリノベーションをした。物件探しをはじめた当初から、リノベーションを前提にしていたという大森さん。その背景には、４年間のアメリカでの暮らしが影響している。
「アメリカでは古い物件をリノベーションして自分仕様にカスタマイズしながら、住み続けるのが文化として根付いています。自分も物件を買うとなったら、リノベーションをして好きなテイストの空間で暮らしたいという憧れがありました」と話す大森さん。現地で知り合った友人や同僚の家を訪れるなかで、そんな想いが強くなっていったという。
「転勤の多い仕事のため、将来的には購入した物件のリセールや賃貸に出す可能性も念頭に置いていました。そう考えると、駅近で築年数が浅い人気のエリア。かつ自分の勤務先までアクセスのいい場所、というのが条件でした」

築浅、駅近という条件で物件探しをスタートした大森さん。しかし選んだ物件は、そのどちらの希望にも当てはまらないものだった。
「内覧に来てみたら、大きな窓から緑が望めるこの眺望がとても気に入りました。ここだ！と直感に訴える魅力があったんです」と、大森さん。さらに、
「南向きのお部屋というのも強い希望の一つでしたが、この物件は北向き。それでも十分な採光がとれていて、メゾネット特有の空間の広がりもあり、申し分ありませんでした」と続けた。
一般的に北向きは、日当たりを重視する人にとって嫌煙されがちな方角だ。しかし直射日光がダイレクトに差し込む南向きに対し、北向きは柔らかな光が長時間続くといわれている。加えて、北向きは一日を通して光量が安定している。そのため、窓からの景色をいつでも美しく眺められたり、室内で読書など作業がしやすいという意外なメリットも。
「物件って実際に来てみないと、図面だけではわからないものですね」と振り返る。

「間取りはほぼ変えていません。コンクリート建築なので、構造体の壁を壊すことができなかったんです。既存の間取りを生かしつつ、床や壁の素材、水回りなど細かいところに手を加えていきました」と大森さん。
なかでも大きな変更を加えたのがキッチンスペースだ。一般的に、コンロとシンクは隣同士に配されることが多い。しかし大森邸では、セパレートキッチンを採用。コンロは中央のペニンシュラキッチンに、シンクは窓際に分かれて設置されている。
「最初、デザイナーさんからは『油跳ねのことを考慮してコンロを窓際、シンクを中央にするのはどうですか？』とご提案をいただきました。しかし、出来上がった熱々の料理をすぐにサーブできるようにコンロの真横にダイニングスペースを作りたかったのと、窓の外を眺めながら洗い物をしたかったので、最終的に今の形に落ち着きました」と続けた。
休日は料理をして過ごすことが多い大森さん。引っ越してからは、以前に増してホームパーティーの機会が増えたそうだ。
「人を招いて料理をすることも多いので、食器をたくさん収納できる棚や、備え付けのオーブンも入れていただきました。大きなオーブンのおかげで、ひき肉のパイ包み焼きなど作れるお料理の幅も広がりました」と笑顔で締めくくってくれた。