ハーバリウムを作るボトルの中に
花の魅力を閉じ込める
ハーバリウムとは、”植物標本”という意味。押し花やブリザーブドフラワーに加え、最近人気なのが、ボトルに植物を入れ、専用のオイルで満たしたもの。
透明感のあるオイルの中をたゆたう花の浮遊感、ボトルを光にかざした時の美しさ……、眺めているうちに気分がリラックスしてくる。
実はこのハーバリウム、完成品を買って飾るよりも自分で作ったほうが断然楽しい。自作ならば飾る部屋のイメージに合わせて作ることもできる。
ボトルと専用のオイル、そして中に入れる花材が揃えば、意外と簡単に作ることができるのだ。
そんなハーバリウムの作り方のコツを、専用グッズの販売やスクールを手がける『アトリエ 眞の花』の中澤眞実さんに教えていただいた。
ハーバリウムにはドライフラワーを使う
ハーバリウムに使えるオイルは2種類ある。“ミネラルオイル”と、“シリコンオイル”だ。
「“ミネラルオイル”は価格が安いので気軽に使えます。不純物が入っていない無添加のベビーオイルでも代用ができます。マイナス10度以下で濁り始め、一度濁ると元には戻りませんので、寒冷地での使用には注意が必要です。
“シリコンオイル”のほうが価格は高いのですが、花材からの色落ちもしにくく、ガラスに似た屈折率があり、ボトルに入れた時にガラスに封じ込められたような美しさを楽しめます。教室では“シリコンオイル”を使っています」と中澤さん。
ハーバリウムの花材には、ドライフラワー、ブリザーブドフラワー、アーティシャルフラワー(造花)などを使う。
生花は使えない。オイルの中で腐敗してしまうからだ。
初めてなら、地層のように重ねて
材料の準備が整ったら、いよいよハーバリウムの制作にとりかかる。
初めてトライするなら、地層のように下から順番に花材を入れて作る方法がオススメだ。
「正面を決めることも大切ですが、なるべく四方から綺麗に見えるように花材を入れてください」
実際に作ってみるとわかるのだけれど、一度花材を入れたら、小さなボトルの中では修正がしにくい。この花をもうちょっと上に、これをもう少し下に、が効かないのだ。その点、下から積み重ねて作るハーバリウムは、初めてでも作りやすい。
美しいハーバリウムにするためは、枯れた茎や、ゴミになってオイルの中で舞ってしまいそうな枯れて取れそうな実などを、あらかじめ丁寧に取り除いておくことが大切だ。
「タンポポの綿毛やラベンダーなど、オイルの中で散りやすい素材は、避けたほうが無難です」
ドライフルーツやパスタも使える
縦に長い材料は、ボトルの長さに合わせてカットすることが大切。やり直しは効かないので、どういった順番で材料を入れたらイメージ通りに収まるのか、シュミレーションしてから、ボトルに入れていこう。ボトルシップを作るようなイメージで、ボトルを斜めにしながら入れていくのがコツ。
「他には、花材を自然な姿に見えるように空間を生かしてシンプルにスッキリと見せる方法もあります。また、花材がオイルの中で浮いているように見せたいときは、透明なセロハンに絵を描くように花材を貼り付ける方法もあります。オイルを入れるとセロハンが見えなくなるので、花材がオイルの中に浮いているように見えます」
ハーバリウムに使う材料は花材に限らない。自由な発想で、置く場所に合わせたハーバリウムを作りたい。
「オイルを注いだ瞬間、花材が生き生きとした表情に変わる楽しさ、そして最初はなかなかイメージ通りの場所に花材が置けないことが多いせいか、一度作ったら、何度も作りたくなるのがハーバリウムの不思議な魅力です。花材に限らず、腐敗しないものなら何を入れてもOKです。自由な発想で、ハーバリウムを楽しんでください」