苔のテラリウムを作る -2苔を寄せ植えして
ボトルの中に物語を作る
密閉されたボトルの中で、一年中生き生きとした緑が楽しめる『苔のテラリウム』。水分は蒸発した分だけ足せばいいので、水やりは数週間に1度霧吹きで水を吹きかけるだけ。主役が苔なので、一般的な観葉植物を育てにくいような薄暗い場所でも楽しめる。
前回の「苔のテラリウムを作る-1」では、ヒノキゴケを植える基本編をご紹介した。
今回は上級編として以下の3つのポイントからなる苔のテラリウムを作る。
(1)横から見ても楽しめる地層のようなベースを作り、遠近感を演出する
(2)苔を複数寄せ植えする
(3)ミニチュアを使って世界観を作る
基本編に引き続き、『Feel The Garden』の川本毅さんに教えていただいた。
苔と用土、フィギュアを用意する
今回は、地層のようなベースの上に、苔を植えていくテラリウムを作る。
用意する用土は4種類。
水苔はその名の通り、湿地に密集して生えている苔。それを乾燥させたものが園芸用品として販売されている。水持ちと排水性に優れている。
珪酸塩白土は天然の白い粘土で、テラリウムの中の水が腐敗するのを防いでくれる。
ピートモスとは、コケ類からできた土。同じ苔なので、苔のテラリウムとは相性がいい。
テラリウムに適した苔は、タマゴケ、ヒノキゴケ、ホソバオキナゴケ、シッポゴケの4種類。
今回は、ホソバオキナゴケでグランドカバーを作り、ヒノキゴケを樹木に見立てる。
「世界観を演出するミニチュアは、鉄道模型用のものがしっかりと作られた質がよいものが多いのでオススメです」
用土を地層のように重ねる
水の腐敗を防ぐ珪酸塩白土を容器の底にひとならべしたら、その上に玉砂利を載せ、傾斜をつける。傾斜は急すぎず緩すぎず、手前と奥の差を砂利の粒換算で1:4程度にする。
水苔は湿らせて使う。
「水苔の水分量が、テラリウムの水分量を決めるので、ボタボタと水が垂れるぐらいでは多すぎ。かといって乾き過ぎもよくありません。“濡れたTシャツ”ぐらいがちょうどよい塩梅です」
水苔は、ピートモスが砂利層まで落ちないためのフィルターの役目も担うので、しっかりと固めながら入れる。
グランドカバー用の苔を敷く
グランドカバーとして使うホソバオキナゴケを準備する。
テラリウムの容器の中に、腐敗につながる有機物をなるべく入れないよう、丁寧に枯葉や古い根を取り除く。
苔の中で美しく生き生きとしている部分を選り分け、手前に植えていく。傾斜をつけたテラリウムでは、手前が一番目立つからだ。
葉の向きを整えながら、ピートモスを覆うように丁寧に植えていく。
植え終わったら、ピートモスに水分が行き渡る程度の量をスプレーしていく。丸めた紙で、苔をなじませながら余分な水分を取り除く。
鹿の遊ぶ苔のテラリウムが完成
ホソバオキナゴケのグランドカバーができたら、数本を束にしたヒノキゴケを3箇所に植えていく。(詳しいヒノキゴケの植え方は「苔のテラリウムを作る-1」を参照ください)。
そこに鹿のフィギュアを2つ加える。苔の森で遊ぶ鹿のテラリウムの完成だ。
「密閉容器で作る苔のテラリウムは、数週間に1度、霧吹きで蒸発した分の水を足してください。今回作った鹿のテラリウムは、密閉度の低い容器なので、時々水分のチェックをしてあげてください」
直射日光は苔のテラリウムの大敵だ。真夏は気温が上がって蒸れてしまうことも。
「真夏に数日間家を留守にするなど、室内が長期に渡って高温になる場合は、冷蔵庫に退避させるなどの対策をしてあげてください」
かわいい苔の相棒を、ぜひ長く楽しんでいただきたい。