新築を自由にプランニング絶妙の間の取り方に
カフェタイムが潤う
どの部屋からも海が見えるように
横浜の海が望める高層のマンション。cafenoma(カフェノマ)として心地よい空間づくりを提案する刈込さんご夫婦は、10数年前に新築でここを購入した。
「たまたま通りがかって見つけたんです。旧財閥系の歴史的建造物の一部を残しながら建てられる、ということと、自由設計ができるというところに魅力を感じました」。まずモデルプランの3LDKを2LDKに変更。
「全部の居室から海が見えるように、間取りを考えました。みんなが集まるリビングは広く、長時間作業するキッチンはオープンにして窓の外が見えるように。ただ、そこまで自由にプランニングする人はいなかったらしく(笑)、かなりわがままだったと思います」。
洗練性と味わいを両立
居室部分は白い床に。玄関・廊下はテラコッタに。ナチュラルな素材感が癒しのムード。
「白をベースにして明るく、広く見せたかったんです。フローリングもテラコッタも、モデルパターンにはなかったのですが、こんなのどう?と提案してみたら意外とOKでした」。予算的に当初、見送った壁は、入居後10年経ってDIYで漆喰に。
「大変でしたけれど、塗りむらが出てかえって良かったと思います。汚れてきたらまた手を加えられますし」。
玄関を入ると突き当たる、夫・隆二さんの仕事部屋は、廊下側に小窓を設けた。
「玄関を明るくしたかったので、窓をつけてベランダからの光を通すようにしました」。遠くの海まで見渡せる、その演出が心にくい。
「東京タワーやスカイツリー、新宿のビル群、羽田の離発着まで見られますよ」。一面にガラス張りの窓が広がるリビングにいると、どこかほっと寛げる。白い空間の中に、オープンキッチンのレンガが温かさを出しているからかもしれない。
「イギリスの外壁用の古レンガなんです。業者には反対されたのですが、これをどうしても使いたくて」。歴史を感じさせる重厚なレンガが、洗練された空間の中に、味わいと奥深さを添えているようだ。
寛ぎの“間”の大切さ
妻の暢香さんは、もともと設計やインテリアに興味があった。ご夫婦揃って愛飲するコーヒーも楽しめる、居心地のよい空間を目指したのがこの家。
「よく、カフェのような、と言われるけれど、カフェ空間を目指したわけではないんです。間の取り方が結果的にカフェのように居心地のよい空間になったのかもしれません」。例えば上座下座を作らないラウンドのダイニングテーブルだったり、ゲストとの距離感を縮められるキッチンカウンターだったり。
「ただインテリアをコーディネートするのではなくて、そういう“間”を大事にしたいと思っているんです」。
微妙な距離感、空気感が居心地のよい空間につながる。そうした思いは、「cafenoma(カフェノマ)」の活動に昇華。ずらりと並ぶコーヒーミルや、ドリッパー、サイフォンなどを眺めていると、1杯のカフェを楽しめる時間と空間の豊かさが大事に思える。
「仕事の合間にとるカフェタイムがとても好きなんです。家でゆったりと過ごすそんな時間を大切にしたいですね」。