自宅で料理教室を清閑な世田谷のマンションから
食の楽しみを発信
自然を感じる静かな環境
等々力緑地や多摩川に近い、世田谷区上野毛の閑静な住宅街。この地に、料理家の山口はるのさんが暮らすマンションがある。「1年半くらい前に、近所の別のマンションから引っ越してきました。前の住まいは幹線道路沿いでうるさくて落ち着かなかったのですが、ここは緑が多くて本当に静か。見つけた時、ここだ!と思いました」。
山口さんは、以前のマンションに住んでいた頃から自宅にて、料理教室「spring’ kitchen」を開催し、今の住まいでも継続している。「このマンションは、落ち着いて教室に集中できると、生徒さんからも好評です」。
歴史を重ねた家具たち
料理教室の舞台となるダイニングに足を踏み入れると、重厚で存在感のあるテーブルと椅子が
目に飛び込んで来た。どちらもイギリスのアンティークで、25年ほど愛用しているそうだ。「テーブルは時を重ねた天板の表情がお気に入り。お料理をとっても引き立ててくれるんです。椅子はテーブルとセットで売られていたもの。最初のカバーはシミだらけだったので、張り替えて使っています」と話す山口さん。愛着のある家具たちは、料理教室の頼れる相棒なのだろう。
野菜や豆腐の魅力を伝えたい
「spring’ kitchen」では、「美的創作料理」を合い言葉に、野菜と豆腐の美味しさや効能を再確認してもらえるような、創作料理を教えている。「地味、ださい、と思われてしまうこともある日本の伝統的な食材を、『あれ?美味しい!』、『おしゃれ!』と思ってもらえるような、オリジナルのレシピをご提案しています。日本の在来野菜も積極的に使います。からだをきれいに、心を健やかにしてくれる、魅力的な食材を、次世代に残したいのです」。
「まったくの正統派ではなくて、話して楽しくなるような、クリエイティビティを持たせた料理が好き」と話す山口さん。中には、豆腐でつくるタルタルソースや、お肉のかわりに豆腐を使ったガパオライスなど、「えっ!これが豆腐!」と驚かれるよう料理もある。「TSUKIJI COOKINGでは、海外の方向けの料理レッスンもしています。私の料理を通して、TOFUに興味を持っていただけたらうれしいですね」。
自由に食を楽しむ場所
山口さんは大の器好き。「新しい器を買うと、次のレッスンが待ちきれなくなります」と微笑む。数点見せていただくと、「素敵!」とため息がでるような、アーティスティックなものぞろいだった。
個性的で素敵な器と料理をどう合わせたらよいのかを伺うと「どんなお料理だって合いますよ」と、意外な答えが返ってきた。「器に尻込みする必要は全くありません。器が素敵だと、普通のお料理も絶対に素敵に見えます。お料理にあまり自信がない人にこそ、かっこいい器を使って欲しいなって思います。やる気や自信がどんどん沸いてきますよ」。
山口さんのマンションではこれからも、心温まるやさしい雰囲気の中、食の楽しみが発信されていくのだろう。