アンティークとモダンの融合つくり込みすぎない
ミックススタイルが気分
カフェやブティックが立ち並ぶ、憧れの通り沿い。林聡子さんはここに建つ築45年のヴィンテージマンションにこだわり暮らしている。
「最初は下の階に住んでいたんです。賃貸でも手を入れていいと聞き、今の部屋に越してきました。便利で環境もいいこのエリアからは離れがたいし、ベランダの手すりのデザインとか、古いマンションのちょっとしたディテールが好きなんです。手の入れがいがあると思いますね」。
表通りのイチョウ並木や、都心の景色が眼下に広がる6階の部屋は、フラワーデザイナーとして世界各地を飛び回る林さんならではのシックで華やかなセンスに彩られていた。
古さを活かしてリフォーム
入居前にまず行ったのは床と壁の張り替え。「白とグレーを基調にしたヨーロッパ的な空間にしたかったんです。壁は白、床はボルドーパインの無垢材を張ってもらいました」。ヴィンテージ加工された床には自然なエイジング感がある。「真っ白もあったのですが、それだと無機質すぎてしまって。ほどよい感じがいいですね」。
キッチン前にあった通路は、壁を取り壊して広く明るく。「キッチンにはブラウン系のタイルが貼ってありアメリカンヴィンテージ風だったので、椅子やテーブルもそれに合わせるようにしました」。テーブルはスペースに合わせ、細身の1枚板を買って脚を取り付けてもらった。重厚感のあるクラシカルな雰囲気が、キッチン側には漂っている。
モダンと古いもののミックス
リビング側は、部屋のイメージに合わせて購入したという白いキャビネットに、グレーにペイントしたテーブルなど、ヨーロッパ調のテイストで家具を統一。そのまわりのディスプレイには、モダンで独創的な雰囲気が溢れる。
「キャビネットの上は学生時代から気に入っているフォルナセッティや倉俣史郎の作品を飾っています。モダンな中にちょっとアンティークを取り入れると映えると思うし、色々なものをミックスするのが好きですね。子どもたちの描いた絵も額に入れて飾っています」。
仕事や旅行で訪れる海外で買ってきた小物なども。玄関ではスーツケースを、収納も兼ねつつディスプレイに使っている。
「このマンションでもうひとつ気に入っているのは、玄関の広さなんです。入り口の印象がよいとお客様の印象も違ってきますよね。だから広さを活かして、あまりごちゃごちゃしないディスプレイを心がけています」。白をベースにした空間に、味のある小物と花の合わせ方が訪れる人の目を奪う。
つくり込みすぎない花あしらい
林さんは以前、長期で入院したことがあり、その際にお見舞いでもらった花がきっかけでイギリスへ花留学。それが今の仕事につながっているという。「枯れた花をアレンジしたり、デッサンしたりしているうちにはまっていきました。色々な経験を経て、住空間も好きなものに囲まれていることが大事だと実感しましたね」。
さり気なくテーブルにあしらわれた花、大胆に活けられた花など、林さんのフラワーアレンジがこの部屋のインテリアの醍醐味。「飾り方にはある程度計算もありますが、無造作感を大事にしています。あまりきれいにしてしまうと不自然になってしまいます。住空間なのでどこかで摘んできてガサッと入れた、くらいの感じがちょうどいいと思いますね」。
つくり込みすぎないナチュラル感、各ジャンルのミックスが、居心地のいい空間を生み出しているようだ。