高台マンションの最上階風の通り抜ける空間で
植物とアンティークを愛でる
眺望、風の抜け具合が抜群
8年ほど前、たまたま通りがかってふらりと入ってみたマンションの最上階を、中川一康さんは即決で購入。
「単身者向けのマンションで、2LDKのこの部屋だけが残っていたのですが、一目見て日当り、眺望、風の抜け具合が気に入りました」。
高台に建つマンションの13階。晴れた日にはリビングの向こうに富士山も眺められ、眼下には絶景が広がる。
「夜景もきれいですよ。でもあまり興味はなくて。それよりもこの開放感と日当りに満足しています。ここならグリーンが育てられるなと思い、だんだんはまっていきました。新たな趣味が見つけられたことが良かったですね」。
リビングを挟んで両側にテラスがあり、窓を開け放てば爽やかな風が吹き込んでくる。桟に腰掛け、育てている植物を眺める日常を、中川さんは愉しんでいる
職人気質で空間をエイジング
中川さんは、靴や鞄の修理を専門とする店「UNION WORKS」を営む。
「もともとは洋服屋になりたくて、靴に移行したのですが、靴もファッションもインテリアも、イギリスのものに惹かれます。偏狂なくらいですね(笑)」。
白い壁に白い木の床材のシンプルな空間は、イギリスをメインとするアンティークの家具とグリーンが味を出す。
「この白いモダンな部屋にアンティークってどうなんだろう? と思ったけれど、モダンだからモダンなインテリア、ではなくてもいいのかなと。意外としっくりなじみました」。
重厚感ある家具とシャープな白い空間を、やわらかなグリーンが調和させているようだ。
「グリーンを飾る壁のフックなどは、自分で取り付けました。あまり満足のいく出来ではないのですが」。
ソープディッシュを受け皿にしたエアプランツが粋。家具の転倒防止器具なども、ブラッセンスプレーで加工し、アンティーク家具に似合うようエイジング感を出している。
「フレームを買って座面を張り直してもらった椅子は、皮の張り具合が気に入らないんですよね。もっと張りが欲しいと思って」。
代々木のフリーマーケットで買ったサイドテーブルには、自分で天板の上に皮を張った。
「グラスを置いたときの感触がいいんです」。
細やかなところに自ら手を加える。そのこだわりは、靴を偏愛する職人気質に通じるのかもしれない。
アンティーク雑貨をベースに
繊細で美しい人工的なグリーンではなく、逞しく育っていく生命あるグリーンが好み。壁のエアプランツや窓辺にハンギングされたコウモリランなどがジャングルのように茂る中、アンティークのシューキーパーやミンサーなど、色々なものを使ったアレンジが目を引く。
「おもしろいベースに出会うと試してみたくなるんです。子株を植え替えては、アレンジしています。まだまだ色々やってみたいですね」。
風の抜ける部屋で、大好きなものに囲まれた生活が営まれている。