緑のテラスで朝ごはんを建築と料理、器、家具。
お気に入りが融合する住まい。
庭つきのヴィンテージマンション
建築から料理の仕事へ
LDKは扉を入って右側をリビングスペース、左側をキッチンとダイニングスペースとして使っている。「昔から北欧のものが好き」というフルタさん。使っている家具はヨーロッパの古いものが多く、北欧のアイテムがポイントに光る。フルタさんが吟味しながら少しずつ集めてきた家具はデザインや素材もバラバラだが、そこに収納されたり飾られているたくさんの器やオブジェなどの小物と相まって、フルタさんの世界観が凝縮された空間になっている。「家具は自作のものもあるし、友人の建築家がデザインしたものや譲り受けたもの、友人の営むヴィンテージショップで購入したものとさまざまです」。そう話すフルタさん。実は学生時代は建築を学び、その後も建築関係の仕事をずっとしてきたのだ。仕事で展覧会の企画などを手がけていた頃、料理が好きだったフルタさんはそのオープニングパーティーのケータリングや撮影も自分でこなしており、そこから料理の仕事が始まっていったという。
建築雑誌のライターもしているフルタさん。実はこのマンションのオーナーで以前事務所としていた建築家にインタビューしていたことが内見をした時に判明したという。「私が取材に伺ったのはご自宅の方だったので。インタビュー記事が掲載された雑誌が届いた翌日に内見して、運命を感じました」。オーナーさんご家族とはいいお付き合いができているという。
暮らしを整える住まい
大学で「朝ごはん学」の教授も務めているフルタさんは、朝ごはんを食べて調子を整えるのが日課だという。「いい気候の時、このテラスで朝ごはんを食べるのが気に入っています」。10畳ほどもあるテラスは、料理の撮影などにも使っている。「室内でも撮影しますが、軒が深いし窓の高さも低いので、晴れていても入ってくる光がやわらかくてすごくいい写真になるんです」。
キッチンに関しては、料理の仕事がメインとはいえ至って普通のサイズだ。「一人でつくるのでコンパクトな方が使いやすいんです。それより作業場所や冷蔵庫の大きさの方が大事で」。アルミ製の大きなダイニングテーブルは仕事の作業台としても重宝しているという。友人や仕事仲間を招いてホームパーティーをすることもしばしば。この部屋でフルタさんの料理を食べながら建築や器、食などさまざまな会話が弾む光景が目に浮かぶようだ。暮らしにまつわるフルタさんのお気に入りが詰まった住まいは、「HOME.」という屋号がぴったりだった。