海辺のマンションの一室からアンティークをカジュアルに楽しむ
ライフスタイルを提案
慣れ親しんだ海の近くに
神奈川県逗子市。小坪マリーナに隣接する築25年ほどのマンションに暮らす、恩田ルーシーさんを訪ねた。
リビング・ダイニングに足を踏み入れると、窓の向こうには、遮るものなく壮大な海が広がっている。眺めが気に入って選んだこのマンションに暮らし始めて5年が経つ。別荘として使っている人も多く、休日や夏期以外はとても静かなのだという。
葉山で生まれ育ったルーシーさん。社会人になってからは、渋谷や目黒で暮らしていたこともあったという。「住めば都で、都心の生活も便利で楽しかったんですよ。でも海の近くに戻ってくると、やっぱり落ち着きますね」
住み始めてしばらくは都内の勤務先に通勤していたが、資格を活かして、2015年から住まいの一室でアロマトリートメントのサロン「Herba」をスタート。お客さまが来るときはリビング・ダイニングの隣にある和室にマッサージベッドを置いて、施術室として利用している。
同世代にアンティークの魅力を発信
室内でまず目に入るのは、向かい合うように塗られたパープルとグリーンの壁だ。「思い立って、ペンキで塗りました。両親には不評なんですが(笑)、部屋が明るくなって気に入っています」とルーシーさん。スモーキーな色合いなので、アクセントになりつつも空間に馴染んでいるのが魅力的だ。
ルーシーさんのお母さまは、葉山で英国生活骨董品を扱う「KATY’S HAYAMA」を主宰しているケイティー恩田さん。
暮らしの中にアンティークがあるのが当たり前という環境で育ったルーシーさんは、自分と同じ世代にもカジュアルにアンティークを使ってほしいという思いから、自身がイギリスやアメリカで買い付けた食器やテキスタイルをウェブショップ「Say it with Lucy’s」で販売。骨董市や蚤の市などに出店することもあり、人気を集めている。
普段の暮らしを大切に
もちろんルーシーさんが普段使っている食器も、アンティークのものが多い。「買い付けたものの中で、欠けがあったり、貫入が多くて売れないものは、我が家の食器になります」と笑う。
アンティークの食器というと、繊細で使うのに緊張してしまいそうなイメージもあるが、ルーシーさんのセレクトはカラフルなものや、レトロかわいい柄が描かれているものなど。普段の何気ない料理を、ちょっと素敵にしてくれそうな食器ばかりだ。
「これは浜辺で拾った瓶なんです」「これはイギリスの紅茶のノベルティだったものですね」「最近、富士山モチーフのものが気になるんです」などと、部屋にあるものを一つひとつ手に取り、楽しそうに話すルーシーさん。
幼い頃から親しむ海の近くで、自分の足と目で見つけた好きなものに囲まれて、自然体で毎日を過ごしている様子が伝わってきた。