築13年のマンションをリノベーション 漫画家二人が暮らす 広いワークスペースのある住まい

築13年のマンションをリノベーション漫画家二人が暮らす
広いワークスペースのある住まい

理想のライフスタイルを叶えるリノベーション

漫画家のOさんとAさんが暮らすのは、埼玉県内にある閑静な住宅地に建つ築13年、総面積71.04㎡のマンション。リノベーションを前提にこの物件を購入し、約半年前に完成した。
「以前は都内のマンションに暮らしていましたが、二人とも漫画家として在宅ワークに切り替わったことで、都内にこだわる必要がなくなったのが大きなきっかけです。友人が近所に住んでいたこともあり、周辺環境のよさを知っていたこのエリアで物件を探していたところ、出会ったのが現在のマンションです」とOさん。また、Aさんは「ローンを組んで新築を購入し、何十年も同じ場所で生活するよりも、フットワークの軽いライフスタイルを送りたいという思いがありました。リノベーションならばコストを抑えながらも、自分たちの好きな間取りや内装を実現することができます。場合によっては、もう一度リノベーションしたり、新しい家に引っ越ししたりなど自由な選択肢を選ぶことができるのもリノベーションに惹かれた理由の一つです」と話す。

OさんとAさんが家づくりのパートナーとして選んだのは、東京都・埼玉県を中心に設計・施工を行うツバメクリエイツ。複数のリノベーション会社を検討する中、決め手となったのはデザイン面だったという。「かわいらしいデザインは好みではなく、かといってインダストリアルなデザインに寄せるのも違和感がありました。ツバメクリエイツさんは、その両者の中間のようなテイストだったので、私たちの好みともマッチしました」(Oさん)。

収納や生活動線を考慮した広々とした玄関土間。右奥はウォークインクローゼットにつながる。

収納や生活動線を考慮した広々とした玄関土間。右奥はウォークインクローゼットにつながる。

廊下からLDKを見る。鮮やかなエメラルドグリーンの壁紙と木の床がバランスよくマッチしている。

廊下からLDKを見る。鮮やかなエメラルドグリーンの壁紙と木の床がバランスよくマッチしている。

もともとは一部屋だった空間を区切り、ヌックとウォークインクローゼットを設けた。

もともとは一部屋だった空間を区切り、ヌックとウォークインクローゼットを設けた。

読書コーナーのヌック。「非日常感があって、家の中にいても新鮮な気持ちになれる空間です」 (Aさん) 。

読書コーナーのヌック。「非日常感があって、家の中にいても新鮮な気持ちになれる空間です」(Aさん)。

玄関土間には、コーディネートのチェックに便利な全身鏡を設置。

玄関土間には、コーディネートのチェックに便利な全身鏡を設置。

ビビッドな廊下やワークスペースとは対照的に水回りはグレーを基調としたシックな雰囲気に。トイレのタオル掛けにはアイアンを採用。床はタイル柄のクッションフロアにし、モダンな印象のある空間となった。

ビビッドな廊下やワークスペースとは対照的に水回りはグレーを基調としたシックな雰囲気に。トイレのタオル掛けにはアイアンを採用。床はタイル柄のクッションフロアにし、モダンな印象のある空間となった。

ホテルライクな洗面スペース。「もともと水回りは白で統一されていましたが、少し野暮ったい印象でした。雰囲気を変えるために壁紙と床をグレーでまとめました」 (Aさん) 。

ホテルライクな洗面スペース。「もともと水回りは白で統一されていましたが、少し野暮ったい印象でした。雰囲気を変えるために壁紙と床をグレーでまとめました」(Aさん)。

メインの生活機能をベランダ側に集約

プラン作成にあたり、OさんとAさんは要望を反映したイラストを作成。それをもとにツバメクリエイツと打ち合わせを重ねた。大きな変更となったのはLDKに隣接していた和室をワークスペース兼寝室にすること。「1日何時間も机に向かうので、壁を向いて仕事をするのが本当に嫌になっていました(笑)。そのため、仕事をしながらも外の様子がわかるようにしたいという思いが強くありました。また、以前の住まいでは寝室の日当たりが悪く、目覚めもよくなかったので、どうしても太陽の光が入る場所に寝室を置きたいと希望していました」(Oさん)。こうした要望に対して、ツバメクリエイツは開放感とともに採光が確保できるように、LDKとワークスペースの間にガラスの室内窓を設けることを提案。寝室も併設することで、ベランダ側にメインの生活機能を集約するプランが完成した。
「もともとはLDKを中心にリノベーションを行う計画でしたが、ツバメクリエイツさんから提案された玄関土間や書棚を並べたヌックなどのアイデアを取り入れていき、今の住まいの原型が生まれました。打ち合わせの後半は、壁紙の色や建具、タイルなどの細部を決めていきました」(Aさん)。
リビングに隣接していた和室を無くし、その場所にワークスペースを設けた。照明にはダクトレールを採用し、明るさを段階的に調節できるようにした。

リビングに隣接していた和室を無くし、その場所にワークスペースを設けた。照明にはダクトレールを採用し、明るさを段階的に調節できるようにした。

キッチンを正面に見る。ワークスペース兼寝室に採用した黒い建具が空間を引き締める。

キッチンを正面に見る。ワークスペース兼寝室に採用した黒い建具が空間を引き締める。

モルタル仕上げのキッチンカウンターには小物置きのニッチを設けた。

モルタル仕上げのキッチンカウンターには小物置きのニッチを設けた。

こだわりを追求した造作のキッチン。右側は洗面スペースへとつながる。

こだわりを追求した造作のキッチン。右側は洗面スペースへとつながる。

調理家電を収納できるスペースを確保。水洗の下には既製品のゴミ箱がすっきりと収まる。

調理家電を収納できるスペースを確保。水洗の下には既製品のゴミ箱がすっきりと収まる。

快適な生活動線がつくる心地よい暮らし

使い勝手を考慮して取り入れられた広い玄関土間はウォークインクローゼットとつながり、風通しのよい回遊性のある空間となっている。「仕事柄、出版社から本などが届くことも多く、一時的な物置きスペースとして玄関土間はとても便利です。さらにウォークインクローゼットとつながっていることで、帰宅後などもすぐに服を片付けることができるのも便利な点です。玄関側にさまざまな機能性をもたせたことで、生活が非常に楽になりましたね」(Aさん)。

この住まいでの暮らしが始まって約半年。住み心地もよく、日々快適に過ごせているとOさんとAさんは声を揃える。「ワークスペースでは、ふとしたときに視線を外すと、外の部屋の様子がわかるので息抜きになり、仕事も捗るようになりました。作業をしながらも人の気配を感じることができるのでとても気に入っています」(Oさん)。また、以前の住まいとの大きな違いとして、玄関土間やウォークインクローゼット、洗面スペースなど生活動線の各所に収納スペースを確保したことで、物が散らからなくなったという。

最後に今後の楽しみについて伺うと、「廊下をギャラリーのようにしたいと思っています。この家に似合うお気に入りのアート作品を飾りたいですね。以前にも増して、外出時にアート作品や小物などを選ぶ楽しみができました」とAさんは語ってくれた。
在宅ワークという場所に捉われない働き方が当たり前になりつつある昨今。OさんとAさんの暮らしぶりから、柔軟なライフスタイルに寄り添うリノベーションの可能性が垣間見えた。

リビングに隣接するOさんとAさんのワークスペース兼寝室。

リビングに隣接するOさんとAさんのワークスペース兼寝室。

ガラスの室内窓にしたことで、視線が抜ける開放感が生まれた。

ガラスの室内窓にしたことで、視線が抜ける開放感が生まれた。

壁紙にはミモザイエローを採用し、明るくポップな空間に。

壁紙にはミモザイエローを採用し、明るくポップな空間に。

ダクトレールを利用し、エアプランツを吊るしている。

ダクトレールを利用し、エアプランツを吊るしている。

「室内窓のイメージは、写真家ソール・ライターの窓ガラス越しの風景を写した作品の影響もあります。リビングの様子もわかるので便利ですね」とAさん。

「室内窓のイメージは、写真家ソール・ライターの窓ガラス越しの風景を写した作品の影響もあります。リビングの様子もわかるので便利ですね」とAさん。

以前の住まいから引き継いだというテレビボード。

以前の住まいから引き継いだというテレビボード。

大小さまざまな鉢に植えられた観葉植物と愛らしいタヌキの置物。

大小さまざまな鉢に植えられた観葉植物と愛らしいタヌキの置物。

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