
暮らしに癒しを取り入れる連続するアールが生む
やわらかで心地よい住まい
緑の借景を求めて
都内屈指の広さを持つ公園の真横に建つマンションを購入しリノベーションをしたSさん。窓には、都心にいることを忘れるほどの緑が広がる。「元々近くに住んでいて、この公園の周辺で物件を探していました。自分で見て回って、いいと思ったマンションの写真を不動産屋さんに送って、どれかが空いたら教えてほしいとお願いをしていたんです」。そこで見つかったのが今の物件だった。連絡をもらった翌日に内見をして購入を決めたという。
以前は大家自らが手がけたデザイナーズマンションで暮らしていた。内装のセンスを気に入っていたが、建物の老朽化が進んだことで引っ越しを決断。「既存のマンション物件だと、不要な部屋が含まれる間取りだったり、気に入るデザインのものがなくて。それでリノベーションをすることにしました。これまで暮らしていた空間の雰囲気を出しつつ、暮らしやすさを格段に高めたのが今回のリノベです」。
以前は大家自らが手がけたデザイナーズマンションで暮らしていた。内装のセンスを気に入っていたが、建物の老朽化が進んだことで引っ越しを決断。「既存のマンション物件だと、不要な部屋が含まれる間取りだったり、気に入るデザインのものがなくて。それでリノベーションをすることにしました。これまで暮らしていた空間の雰囲気を出しつつ、暮らしやすさを格段に高めたのが今回のリノベです」。

アールを使って44.15㎡の空間を最大限に生かした。「クロスは使いたくなかった」というSさんのこだわりで、天井や壁は漆喰を採用している。

天井のアールに仕込まれた間接照明によって漆喰のテクスチャが作る陰影を楽しめる。

窓際のアールに隠れたアイアンバーは、正面から見えない位置に高さを調整し設置した。

曲線だけでなく、採用した色彩も空間全体のやわらかさを演出。目の前に公園が広がり、抜け感のある景色が開放感をもたらす。
小上がりとアールで緩やかに仕切る
物件を見つけ、いくつかのリノベ会社に連絡を取ったSさん。最終的に3社から出されたプランを見て選んだのがフィールドガレージだった。「提案されたプランを見て、二次元で考えるのではなくて、三次元で捉えて実際の暮らしを想像しながらデザインをしてくれているなと感じました。必要な場所に必要な収納が十分にあったり、キッチンが使いやすかったり自分が暮らす様子が見えたんですね。他のところはオシャレだけど、どこかオフィスみたいで、私が住む家じゃないなと思って。A3用紙の図面に細かく書き込みがあったりして、担当者の熱量を感じて、すごく考えてくれたんだと思えたのもポイントでした」。リノベーションを担当したフィールドガレージの岑早さんは一般的には躊躇してしまうような大胆なデザインを提案してもSさまなら気に入ってくれるはずとワクワクしながらできたと振り返る。「低い梁などの制約がある中、いかに理想の世界観と暮らしやすさを両立するか、パズルを解くように夢中で考え尽くした時間は本当に楽しかったです」。
空間をなるべく区切らないことにこだわり、寝室を作らずリビングとベッドスペースを共存させた。「寝室のために個室や半個室を作ることも考えたのですが、壁を作ることで圧迫感ができてしまうのが嫌でやめました」。小上がりと天井のアールが、空間を緩やかにゾーニングする。「かまくらみたいで素敵でしょ」と、小上がりの程よいおこもり感が気に入っていると笑顔で話すSさん。小上がりをカーペットで覆ったのは、座りやすさという機能面だけでなく、空間全体のやわらかな雰囲気に馴染ませる工夫でもある。
小上がりの天井など、ところどころにアールを採用しているSさん邸。梁の出っ張りが目立ち窮屈な印象を与えていたが、圧迫感の原因だった梁を曲線で隠し、空間に馴染ませた。窓際の造作の壁のアールは、梁だけでなくエアコンやダクトも隠す。短所だった梁の出っ張りをデザインで意識させないようにして、単に“隠す”だけではなくやわらかな空間を作る効果がある。
空間をなるべく区切らないことにこだわり、寝室を作らずリビングとベッドスペースを共存させた。「寝室のために個室や半個室を作ることも考えたのですが、壁を作ることで圧迫感ができてしまうのが嫌でやめました」。小上がりと天井のアールが、空間を緩やかにゾーニングする。「かまくらみたいで素敵でしょ」と、小上がりの程よいおこもり感が気に入っていると笑顔で話すSさん。小上がりをカーペットで覆ったのは、座りやすさという機能面だけでなく、空間全体のやわらかな雰囲気に馴染ませる工夫でもある。
小上がりの天井など、ところどころにアールを採用しているSさん邸。梁の出っ張りが目立ち窮屈な印象を与えていたが、圧迫感の原因だった梁を曲線で隠し、空間に馴染ませた。窓際の造作の壁のアールは、梁だけでなくエアコンやダクトも隠す。短所だった梁の出っ張りをデザインで意識させないようにして、単に“隠す”だけではなくやわらかな空間を作る効果がある。

リビングからキッチンを見る。右の扉はウォークインクローゼットにつながっている。床材にパインの無垢材を採用し、空間を引き締めた。

音楽好きのSさんの要望で設置した造作のオーディオコーナー。以前は、オーディオ機器とCDが別々の場所に置かれていて使い勝手が悪かったのを1カ所にまとめた。

「1000枚までは数えていたんですけど、それ以降は数えるのを諦めました」とSさん。大量のCDを収納できるように、サイズに合わせて棚を作った。引き出し部分にはリブ材が使われるなど、細かなこだわりが見られる。

リビングとキッチンの間にあった梁をアーチにすることで目立たなくした。本来の梁よりも厚めに設けたことで、リビングに入った時の開放感が増す。内側の色は小上がりの天井のアールに合わせた。

アーチ内のスペースを活用し洗濯機スペースを設けた。

アールの連続が心地よい空間を生む。
公園につながる暮らし
キッチンはIKEAで購入したものをベースにカスタマイズした。「引き出しなどの内部キャビネットとシンクのみがそのままで、コーナー収納部分・面材・天板などの見えるところの大部分は家具屋さんの造作で仕上げています」と岑早さん。ワークトップのタイルは、以前の住まいで気に入っていたキッチンを参考に選んだ。吊るすように取り付けられたシェルフのアイアンはキッチンに合わせて差し色にグリーンを採用している。
浴室とトイレを一つにしたのも、空間を細かく区切りたくないという思いから。「特にトイレが狭くて圧迫感があって。アメリカで暮らしていた部屋も以前の住まいも、浴室とトイレが一緒だったので、一つにすることにこだわりました」。2つのガラス窓も、浴室内で感じる閉塞感や、外側で感じる壁の圧迫感を緩和するために設けた。浴室内部の壁は他の場所と同様、ベースは漆喰だが常に水にさらされる場所はタイル張りに。黄色をベースカラーに、アクセントに黒を入れコントラストがはっきりとした空間にした。
以前の家は徒歩2〜3分のところにあり、生活圏は変わっていない。しかし、暮らす場所と空間の変化が、気持ちにも大きな変化をもたらしたとSさんは話す。「以前は飲食店が多くあるエリアに住んでいて、朝になると店の人とお客さんのやり取りで目が覚めていたのが、今は公園から聞こえる鳥の鳴き声で起きていて、すごく健康的になりました。仕事に関しても在宅で働くことが多いので、行き詰まった時に、ふっと窓に目を向けると緑があって気分転換になります」。天井が低く梁の出っ張りが多いという短所と言える物件の特徴を、アールを駆使し逆に利用したリノベーション。空間が持つやわらかさや温かさがSさんの人柄を映す。
浴室とトイレを一つにしたのも、空間を細かく区切りたくないという思いから。「特にトイレが狭くて圧迫感があって。アメリカで暮らしていた部屋も以前の住まいも、浴室とトイレが一緒だったので、一つにすることにこだわりました」。2つのガラス窓も、浴室内で感じる閉塞感や、外側で感じる壁の圧迫感を緩和するために設けた。浴室内部の壁は他の場所と同様、ベースは漆喰だが常に水にさらされる場所はタイル張りに。黄色をベースカラーに、アクセントに黒を入れコントラストがはっきりとした空間にした。
以前の家は徒歩2〜3分のところにあり、生活圏は変わっていない。しかし、暮らす場所と空間の変化が、気持ちにも大きな変化をもたらしたとSさんは話す。「以前は飲食店が多くあるエリアに住んでいて、朝になると店の人とお客さんのやり取りで目が覚めていたのが、今は公園から聞こえる鳥の鳴き声で起きていて、すごく健康的になりました。仕事に関しても在宅で働くことが多いので、行き詰まった時に、ふっと窓に目を向けると緑があって気分転換になります」。天井が低く梁の出っ張りが多いという短所と言える物件の特徴を、アールを駆使し逆に利用したリノベーション。空間が持つやわらかさや温かさがSさんの人柄を映す。

右側にある浴室の扉や壁のガラスにより、視界が抜けて圧迫感がない。

「IKEA」のキッチンがベースだが、収納扉やフチまでしっかり白タイルが取り付けられているワークトップなどはオリジナルで、ほぼ造作。

丸い2つのブラケットライトが優しくキッチンを照らす。

ベースカラーの黄色はタイル目地にも使用。シャワーや蛇口、配管などは差し色の黒で統一し、黄色と黒のコントラストが印象的な空間になっている。

水回りを一部屋にすることは、掃除がしやすくなるという実用的なメリットもある。

玄関からキッチンへ続く扉を開けると現れる浴室の壁にガラスを入れて視界の抜けを作り、圧迫感をなくした。

玄関の梁もアーチで目立たなくしている。上がり框もアールにすることで玄関スペースを広げて多くの来客にも対応できるようにした。シューズラックと左奥の扉のグリーンは、キッチンのシェルフとリンクしている。








