ミニマリストの暮らし方 Part2必要にして十分な
本当に愛おしいものと暮らす
管理できるものだけを揃える
約70㎡の集合住宅に家族5人で暮らす尾崎友吏子さん。
「自分の心地よさを求めたら、結果的にミニマリストになったんです」という尾崎さんの暮らしは、選び抜いたものと寄り添いながらシンプルに営まれている。
「家も持ちものも、手に入れた瞬間にそれを管理していかなくてはなりません。自分が管理できる能力があるかどうかを考えて、使うものを選びたいと思っています」。
選びとったひとつひとつのものには、単なる“もの”ではない愛着がわいてくる。尾崎さんの生活を彩る、厳選された愛用品を公開。
用途を兼ねて、ツールを最小限に
育ち盛りの男の子3人を育てる尾崎邸のキッチンは毎日フル回転。できるだけ無駄を省いて調理や片付けの時間を短縮できるよう、絞り込まれたキッチンツールが揃っている。
「私も仕事をしているので、家族にすぐに食事が出せるよう、週末作り置きをしておきます。だから保存容器は欠かせません。愛用しているのは中身が見えて便利なガラス製のパイレックスと、そのまま直火にもかけられる琺瑯の保存容器。重ねられるので収納性が高いのも魅力です」。
色々なアイテムを揃えない分、ひとつのものを色んな用途に使い回す。食器も、和洋中何にでも合わせられるリチャードジノリのベッキオホワイトを愛用している。
「昔から好きで、家族が増えると共に買い足してきました。1枚のお皿でも主菜に使ったりデザートに使ったりと色々活用できます。最低限に揃えたものを最大限に活かしてあげることで、ものの価値が高まると思います」。
着心地のいい必要アイテムを着まわす
尾崎家は約3畳のクローゼットに家族全員分の衣服を収納している。友吏子さんの手持ち服は年間20着ほど。「白ブラウス+黒ボトムス」を基本スタイルにしている。
「薄手リネンの7分袖シャツは年間通して着用できるので便利です。冬にはその上にカシミアのカーディガンを重ねます。フォーマルやお出かけ用にはノースリーブのワンピースを1枚。セットアップのジャケットと合わせれば、入学・卒業式にも対応します」。
服は最小限で揃えておけば、必然的に着回すので傷みが早く、入れ替えのサイクルも早くなる。流行が移り変わりやすいものだけに、理にかなっているのかもしれない。
「服選びも素材にはこだわります。そして大好きな服だから、摩耗して着られなくなったものでも捨てたりはしません。エプロンにしたり布巾にしたり、最後まで使い道を考えるのも楽しいですよ」。
リメイクにはご主人のお祖母様のお下がりである足踏みミシンを活用。メンテナンスをしっかり行い、現役で働いてもらっている。
本当に好きなものを見極める
「無印良品の天然素材のカゴはキッチンでも洗面台でも使っています。丈夫ですし手編みの味わいも好きです」。
洗面台では洗剤などをカゴ1個分にストック。それ以上は買い置かないようにしている。
「収納スペースを限定すれば、ものが増えることも防げます。一方でたくさん持っていることで便利なものもあります。例えばハンガーは、服を畳む手間を省くために必要なもの。丈夫なアルミのシンプルなハンガーを揃えています」。
服と違って長く愛用したいのが家具。ともに20年近く使っている無垢材のダイニングテーブル、Yチェアは畳のリビングとも調和する。
「家具は長く愛用できるかどうかが大事です。だから本当に好きなものを選びたいですね。気に入ったものが見つかるまでは、買い揃える必要はないと思っています」。
家具も雑貨も、ひとつひとつこの家に在る意味があり、愛されていることが感じられる。暮らしを支えるものへの愛着が、生活に幸福感を与えてくれるのかもしれない。