整理収納はリノベと同時進行でインテリアを邪魔しない
整理収納のテクニック
トキメキのあるリビング収納を設ける
築32年のメゾネットタイプのマンション。141㎡の1室を購入、リノベーションして暮らす整理収納アドバイザーの生方悠さん。お子さんが生まれ、モノが増えて試行錯誤するうちに、本格的に勉強をスタート。現在は資格を取得してプロとして活動されている。
「リノベと整理収納の勉強は、同時並行で行いました。以前はアパレルで働いていたので、服でいっぱいだったんです。溢れかえっていたモノの収納を、リノベに活かせたのは良かったですね」。
悠さんが、リノベ時にやりたかったことのひとつは、“リビング収納を設ける”こと。
「家族みんなが使うものを収める場所を、一カ所つくっておきたいと思いました。以前はテレビボード収納に収めていたのですが、それを手放して、自由に組み立てられるシステム収納を活用しました」。
LDKの使いやすい位置に、大きなシステム収納を設置。書類や文房具、医薬品、マスク、お嬢さんのヘアケアアイテムなど、日常的に使うものをまとめて収めている。
「この収納の中を完成させるのに1年かかったんです。最初は100円ショップのケースを入れてみたのですが、何かが違う。ときめかないなと思ってやめました(笑)。収納ケースが真っ白で目立ったり、半透明で中身が見えたりするのも嫌だったんです。リビングから見える位置なので、人を招いたときにもすっきり見えるようにしておきたいと思いました」。
美しく整えられたリビング収納には、無印良品のファイルボックスや小物収納ケース、セリアのレター入れなどを活用。ボックスには前後にラベルを貼り、どちら向きに戻してもいいようにするなど、細やかな配慮がストレスを解消している。
リビングから見えないキッチン収納
仕切りを取り払い、オープンにしたキッチンは、家電をなるべく置かないようにするため、オーブンレンジをビルトインに。冷蔵庫もリビングから目立たない位置に配置した。
「キッチンから見えるダイニング、ダイニングから見えるキッチン風景にこだわっているので、モノはほほ出さないようにしています」。
キッチン台の上は何も置かずすっきりと。さらに引き出しを開けた時も、収納しているモノがダイニングから丸見えにならないよう、ファイルケースを使用し、中身を隠して見た目をカバーしている。
「キッチン台を2列に配置したため、人が通れる幅は70cmと、コックピットのようにコンパクトなのですが、モノに手が届きやすいというメリットがあります。シンク下にはシンクで使うモノなど、必要な場所に必要なモノを配置して、動きをスムーズにしています」。
お鍋はシンク下、食器用洗剤は食洗機の横、カトラリーはダイニングにいちばん近い引き出しなど、動線を考えて配置。
「隙間にモノを入れる習性があるので、隙間が出るのが好きではないんです。仕切りなどを使い、空間に無駄を生まないようにしています」。
食器類の収納には、仕切りを大小組み合わせて、収納スペースを機能的にアレンジ。食品保存用のコンテナは、ぴったり揃うモノをセレクトして、整然と収めている。考え抜かれたシステムが、毎日の調理を楽しくしてくれる。
選び抜いたモノと暮らす
リノベーション時、2部屋つながっていた個室を1部屋にして寝室に。クローゼットをたっぷりと設け、家族3人分オールシーズンの衣類を一括で収納できるようにした。
「幼稚園児の娘が自分でも支度できるように、引き出しは身長に合わせた高さのところを使わせています。衣替えはせず、引き出しの中だけシーズン毎に取り替えます」。
仕事柄、服が多めのご主人のスペースも、扉片側分だけ。悠さんと娘さんのふたり分の衣類は、もう片方の扉の中に収まっている。
「以前は服が溢れ帰っていたのですが、それなのに着るものがない、というような状態で、服を選ぶのがストレスでした。それを見直して、必要なモノだけを持つようにしたんです」。
服は白と黒だけと決め、制服のように考えることに。
「自分が気持ちいいのがいちばんだと思っています。欲しい服は買いますが、その分処分して、クローゼットに収まるだけにした方が、ストレスがないですね」。
冠婚葬祭用など、保管用のモノは枕棚の上に。140㎡という贅沢な居住空間であっても、モノをたくさん揃えることはしていない。
「吟味して選んだモノだけを揃えて、きちんと収めることで、お気に入りが揃った心地よい空間になり、インテリアやグリーンも楽しめます。ただ、収納には正解がないので、戻せない、使いづらいのはなぜなのかを考えながら、日々更新していますね」。