建築家の自邸の収納アイディア ゆとりある設計で叶う すっきりとした暮らし

建築家の自邸の収納に学ぶきめ細やかな収納計画で叶う
豊かな暮らし

収納するモノと場所を整理する

建築家の小田内晃彦建築設計事務所の小田内晃彦さんの自邸には、丁寧に考えられた収納のアイディアに満ちている。
「住宅を設計する際は、事前にお施主様の持ち物を細かくヒヤリングし、収納するものと場所を整理します。そして収納スペースには建具を使い、すっきりと見せたいと考えています」
見せる収納は整理整頓が得意な人には向いているが、苦手な人には重荷になる収納方法だ。

「自邸もどこに何を収納するのかをあらかじめ決めて設計しました」
たとえば、ダイニングとキッチンの間の収納扉は、下15cmほど開けて、ルンバが自動で帰ってこれる基地に。仕事で使う建材のサンプルは、自然光が入る場所の近くで収納している。

向かって左の木枠の奥が書棚スペース。木製の木枠には奥行きがあり、デスクやカウンターとして両側から使える。

向かって左の木枠の奥が書棚スペース。木製の木枠には奥行きがあり、デスクやカウンターとして両側から使える。

【オモチャ】を収納する場所を作っておく

「子どもがまだ小さい頃はおもちゃが散らかってしまうので、小さなお子さんがいるご家族の住宅を設計するときにはおもちゃを片付けられる収納を意識するようにしています。
自邸の設計では、家族が一番居るリビングの近くで子どもがおもちゃで遊ぶ時間が多いと考えたので、リビングとダイニングの間に設けた開口枠の側面におもちゃをしまう場所を計画しました」

リビングとダイニングをゆるやかに分ける大きな木枠の引き戸に、子どもたちのオモチャを入れる収納スペースを作った。ここに収納スペースがあるとは思えないスッキリとした見た目。

リビングとダイニングをゆるやかに分ける大きな木枠の引き戸に、子どもたちのオモチャを入れる収納スペースを作った。ここにオモチャが入っているとは思えないスッキリとした見た目。

フックを収納扉の把手として使っている。

フックを収納扉の把手として使っている。

子どもの力で簡単に開く建具。成長に合わせて好きなフックを使えるように、いろいろな高さと位置に大小さまざまなフックをつけた。

子どもの力で簡単に開く建具。成長に合わせて好きなフックを使えるように、いろいろな高さと位置に大小さまざまなフックをつけた。

木枠には引き戸とカーテンが納められている。引き戸は危なくないようにアクリル素材を採用。

木枠には引き戸とカーテンが納められ、空間を分けることもできる。引き戸は危なくないようにアクリル素材を採用。

コンセントプレートはフローリングを蓋になるように加工した。

コンセントプレートはフローリングを蓋になるように加工した。

コードは床下を通しているのでスッキリと見える。

コードは床下を通しているのでスッキリと見える。

建具の裏側は、子どもたちの絵を飾るギャラリーに。

建具の裏側は、子どもたちの絵を飾るギャラリーに。

毎日使う【洗面室】は重要な場所

「洗面室は家族が毎日何度も使う場所です。そして、顔を洗ったり、歯磨きをしたり、髪を乾かしたり、たくさんの行動をします。毎日使う場所がきれいに片付けられるように、洗面室は設計する上でとても重要な部屋であると思っています。
我が家の洗面室は脱衣室も兼ねているので、洗濯物をたたんだり、体を拭いたりと、さらにアクションが増えるため、収納計画や家事動線には時間をかけて検討を重ねました」

『Cielo』の洗面ボウル、『ZUCCHETTI』の水栓。引き出しはドライヤーをしまえるコンセント付きの収納になっている。

『Cielo』の洗面ボウル、『ZUCCHETTI』の水栓。引き出しはドライヤーをしまえるコンセント付きの収納になっている。

ドライヤーはそのまましまえるように、引き出しの中に予めコンセントを設置。

ドライヤーはそのまましまえるように、引き出しの中に予めコンセントを設置。

洗面カウンターの側面のニッチに、洗面周りで使うアイテムの収納を計画した。

洗面カウンターの側面のニッチに、洗面周りで使うアイテムの収納を計画した。ゴチャつきがちな場所も扉で隠せばスッキリ。

歯磨き粉やヘアオイルなど、日常の細々したものを収納。

歯磨き粉やヘアオイルなど、日常の細々したものを収納。

「家族で電動歯ブラシを使うので、収納内にはコンセントを設置しました」

「家族で電動歯ブラシを使うので、収納内にはコンセントを設置しました」

「家族で電動歯ブラシを使うので、収納内にはコンセントを設置しました」

「テッシュは洗面脱衣室内で頻繁に使うアイテムなので、予め住所を決めました」

「家族で電動歯ブラシを使うので、収納内にはコンセントを設置しました」

「洗濯機上の扉の中に、ティッシュ専用の収納部屋を作りました」

「家族で電動歯ブラシを使うので、収納内にはコンセントを設置しました」

「下から取り出すことができます」。ティッシュが減ってきても取り出しやすい

【清掃用品】の収納場所も決めておく

必ず使う掃除用具をどこにしまうか、忘れずに予め計画しておこう。掃除機は思いのほか嵩張るもの。電源も必要だ。スティックタイプの掃除機なら高さのある収納も必要になる。
「我が家はロボット掃除機を使っているので、掃除機のための基地を作りました。建具の下を開けておいて、自動で帰還してもらいます」

扉の下側を開けておけば、自分で基地に戻ってくれる。

キッチンと書棚スペースの間を掃除用具の収納スペースにした。

扉の下側を開けておけば、自分で基地に戻ってくれる。

扉の下側を開けておけば、自分で基地に戻ってくれる。

ロボット掃除機の基地。清掃用具一式を収納。

ロボット掃除機の基地。清掃用具一式を収納。

グルリと回遊できる【書棚】スペース

収納スペースをしっかりと確保する一方で、場所の使い方をフレキシブルにすれば限られた占有面積の有効活用につながる。
小田内邸は職住一体の家。働く場所と生活する場所を分けてしまわず、共有するスタイルだ。家族が食事をするダイニングテーブルは、クライアントとの打ち合わせスペースになり、木枠の内側の書棚には、建築関係の書籍と、子どもの絵本も並ぶ。
「家の一部に小さなオフィススペースを作るのではなく、すべての場所がオフィスであり、同時にすべてのスペースが家族が暮らす家になるよう考えました。平日の日中、妻と子どもが外出している間、使われていない部屋があるのは効率が悪いですから」

1階は4つの開口枠が様々な役目を果たしており、4つの空間の床材が違う。リビングはモルタル、ソファの部屋はフローリング、キッチンがリノリウム、テラスのウッドデッキ。どんなことをして過ごすスペースなのか、床材が雄弁に語ってくれる。

大きな吹き抜けが気持ちいい。家型の外観そのままの三角の天井。

ダイニング横の木枠の奥が書棚スペース。カーテンで仕切ることもできる。

休日は早咲さんと奏人くんが書棚スペースで過ごすことも。

晃彦さんのワークスペースだが、休日は家族が書棚スペースで過ごすことも。使い道を限定しないことがスペースの有効活用につながる。

玄関横の扉を開けると、シューズクローゼットを備えた土間スペースになっている。さらに扉を開けると書棚スペースにつながり、グルリと回遊できる。

玄関横の扉を開けると、シューズクローゼットを備えた土間スペースになっている。さらに扉を開けると書棚スペースにつながり、グルリと回遊できる。

書棚スペースを通って、写真手前左側のキッチンに繋がる回遊動線がある。

書棚スペースを通って、写真手前左側のキッチンに繋がる回遊動線がある。

【収納スペース】はたっぷりと

収納で最も頭を悩ませるのが、日々増えていくモノが、収納場所から溢れ出してしまうこと。
持っているものが入る分の収納を作るだけでは、遅かれ早かれ部屋がごちゃごちゃして見えてしまうことになる。
「現状の持ち物より、収納スペースを多く設定することが大切です。
住宅を設計する際は、可能な限り収納スペースを作ってあげたいと考えています」

三角の天井の家型フォルム。ドールハウスにいる気分になる寝室。

ドールハウスにいる気分になる寝室はスッキリと。

天窓のある部屋は将来子ども部屋にする予定。

天窓のある部屋は将来子ども部屋にする予定。フレキシブルな使い方が家族のライフスタイルにゆとりを生む。

寝室の右手前にウォークインクローゼット。

寝室の手前にウォークインクローゼットを作った。

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