
六本木のLOFTスタイルの家DIYしながら作った
ワンルームのスタジオ空間
フェンスが空間をゆるやかに分ける
東京ミッドタウン裏手の檜町公園の緑や、東京タワーが見える最高のロケーション。東京のド真ん中で暮らすおもしろさを満喫できる場所に建つ、築40年以上の古いマンションをリノベーションしたオステアー・クリストファーさん。天井を抜き、鉄、木、コンクリートといった、飾らない素材で構成された空間は、日本とは思えない、まるでNYのSOHOにあるロフトのような仕上がり。
「“やりすぎないくらいがちょうどいい”そう考えながら、造作物がなにもないスタジオのような空間を目指しました。今はベッドを奥の部屋に置いていますが、手前に移してもいいですし、気分で使い方やイメージを変えられるようにしたかったんです。最上階なので天井を抜いたら寒いかな?と思ったんですが、大丈夫でした(笑)」
85㎡の大空間のワンルームは、床の段差と床材、ワイヤーフェンスの引き戸、バスルームのガラス扉が、ゆるやかに空気感を分けている。
アニエスb.のアートディレクションを務めるクリストファーさんの抜群のセンスと、クリストファーさんと仕事でタッグを組むことも多いインテリアデザインユニットHOUSETRADの思いを形にするチカラで、この部屋が出来上がっている。

玄関脇の、鍵や小物をちょっと引っ掛けておける有孔ボード。インターホンをくり抜く遊び心が楽しい。

六本木の真ん中の築40年以上のマンション。ひと目で、“カッコよくリノベーションできる”とピンと来たそうだ。

DIYしたローテーブル。パレット3段分を黒く塗り、キャスターをつけ、サイズオーダーしたガラス天板を載せた。

バスルームは木枠のガラスで仕切られている。「来客用にブラインドをつけましたが、ひとりの時は使ってませんね(笑)」

真空管+車用のアンプ+ダイアトーンのスピーカーというユニークな組み合わせが、パワフルで臨場感のある音を作り出す。

イベントで使ったネオン管。「運搬用の木枠ごと飾りました。この雰囲気のほうが気分かなと思って」

クリストファーさんは日本生まれ。両親も同じマンションに住んでいる。
予算を限定、家具は格安で調達
フランス人の父と日本人の母を持つクリストファーさん。父は日本で外国人向けに不動産を紹介する仕事をしているそうだ。
「この部屋をリノベーションした4年前はまだ僕も若かったので(笑)、家具も含めた費用の予算を300万円に収めようと決めました。家具は実家で使っていたものや、ネットオークションで格安で手に入れたものばかりです。バスタブは展示品、グローエのシャワーヘッドも安く手に入れることができました」
たとえば、ふたつ並んでいるベッドのうち、ひとつはクリストファーさんのお姉さんが使っていたものだそう。日本に家具を置いて帰国する方から譲り受けたものもあるとか。
もちろん、こだわって手に入れたものもある。
「イギリス製のキークランプ社の仮設の足場用のパイプとクランプの武骨さが好きで、これを使ってハンガーラックを作りました。アパレルのショップでも使われていることが多いので、見たことがある方も多いかもしれません。一番上に棚板を渡したいのですが、まだ実現してません」

リビングとベッドルームを分けている2枚のフェンスは引き戸になっていて、中央に寄せることができる。

ブリックタイルを貼り、目地ごと白にペイント。味のある壁面ができあがった。

「金網に着てた服を引っ掛けておけば適度に目隠しされるので、ベッドルームに個室感が生まれます」

「バスタブも欲しかったので、リノベ後に設置しました。お湯はシャワーヘッドをバスタブに入れて溜めてます」

ガラスのドアに金の飾り文字で“BATHROOM”をペイント。ステッカーでは出せない味。

テーブルは実家で子どものころから使っていたものだそう。「イスも格安! ネットオークションで4脚2万5000円で買いました」
壁やドアはDIYで
リノベーションの予算が限られている中、自分でできることはDIYしたそうだ。
「壁も友人に手伝ってもらいながらペイントしました。ブリックタイルのペイントは、タイルがどんどんペンキを吸ってしまうので大変でした。2~3週間はかかったと思います」
玄関ドアの塗装も自分で剥がしたのだそう。
「風呂場にドアを持ち込んでグラインダーで削りながら剥がしました。これもかなりキツい作業でした。仕上げにオリーブオイルを塗りましたが、時間とともに錆が出ています。それがいい味になっています」
同じマンション内にもう1軒、空きが出たのだそうだ。そこをどうリノベーションしていくか。取材に伺ったこの日、HOUSETRADの二人とテラスで作戦会議を立てていた。

玄関とリビングはフラットにつながる。ベッドルームとバスルームは1段高くなっていて、空間の連続性に変化が生まれている。

玄関ドアを開けて室内に。扉にはキュートな“Hello”のポラロイド。

玄関の鉄の扉は、クリストファーさんがサンダーで塗料を落とした。少しづつ錆が出てきて、その経年変化もおもしろいという。

スイッチ回りにマーカーで手書きのサイン。デザイン的に今一つな給湯器のスイッチもペイントすればこんなにキュートに。

武骨なチェーンとアイアンのレールでカスタムメイドした照明は、HOUSETRADのオリジナル。

シンプルな照明器具も、コードの渡し方ひとつで、アーティスティックなオブジェに変身。
